「お家の人に連絡した?」
「あ、はい…。お友達の家で勉強して帰るって……」
「そう…」
嘘をついた。
親になんか連絡したことがない。
娘が誰と何処で何をしようが、あの人たちには関心がない。
でも阿川さんには心配させたくない。
だから嘘をついた。
「今、洗濯してるから。もう少し待ってね」
「すいません……」
濡れた髪をタオルで拭く阿川さん。
そんな阿川さんを見て胸が"ドキッ"と高鳴る自分がいた。
「何か飲む?冷たいものだったらお茶か水で牛乳……。温かいものだったらコーヒーか紅茶……。あとホットミルクかカフェオレも出来るけど?」
「紅茶で……」
「了解」
風呂から出て、リビングに入ると、彼女は携帯をいじっていた。
俺を見ると、携帯を"パタン"と閉じてテーブルに置いた。
「お家の人に連絡した?」
「あ、はい…。お友達の家で勉強して帰るって……」
「そう…」
お友達の家か……。
「今、洗濯してるから。もう少し待ってね」
「すいません……」
「何か飲む?冷たいものだったらお茶か水で牛乳……。温かいものだったらコーヒーか紅茶……。あとホットミルクかカフェオレも出来るけど?」
「紅茶で……」
「了解」
阿川さんはキッチンに行った。
紅茶の香りが鼻に届く。
しばらくして、マグカップを持った阿川さんがリビングに戻ってきた。



