阿川さんがリビングを出たと同時に鞄の中の携帯が鳴った。
鞄から携帯を取り出して携帯を開く。
あっ……。
メールをしてきたのは、以前、ホテルで1夜を共にした人。
その時にアドレスを交換したんだった。
"柴本(シバモト)"と名乗った男。
年齢は自分の親と同じくらい。
本当の名前かどうかわからないから私も柴本には"アヤ"と名乗った。
【久しぶり。今日、会えない?3でどうかな?】
【今すぐは無理だけど、遅くなってもいいなら大丈夫だけど……また連絡するね】
最後に付けたくもないハートを入れてメールを送信した。
【了解。連絡待ってる】
と、すぐに柴本からメールが入った。
【はーい】
とだけ、書いて送信ボタンを押した時、阿川さんがリビングに入ってきた。
私は阿川さんを見て、携帯を閉じてテーブルに置いた。



