数分前――。
手話教室に向かう途中に、翔が知らない女の子と歩いてた。
公立高校の制服を着た女の子。
手を繋いで楽しそうに笑いながら歩いてた。
私にも見せたことないような優しい笑顔の翔。
気付くと、私は翔と女の子の前に出ていた。
目を見開き、私を見る翔。
でもその目は冷たい目に変わり、私を睨みつけていた。
「何?」
そう冷たく言い放つ翔。
隣の女の子も「誰?」って目で私を見てる。
「翔……隣の子、誰?」
「はぁ?誰だっていいだろ?お前には関係ない」
前の優しい翔はそこにはいなかった。
私を冷たい目で見下す翔。
嘘でもいいから……。
嘘でもいいから……何か言って欲しかった……。
優しい言葉をかけて欲しかった。
"ゴメン"と謝って欲しかった。
でも……翔の口から出た言葉は……。