施設に着くと、私だけ何故か青木先生に呼ばれた。
何だろう……。
園長室に青木先生に続いて入る。
えっ……うそ……。
何?これ……。
私の目の前に飛び込んできたのは、ハンガーにかけられた純白のウェディングドレス。
「数日前にね、咲哉くんから電話があったの……」
そう話しを切り出した青木先生。
「えっ?」
「咲哉くんがね、穗乃香さんにウェディングドレスを着させてあげたいって……。結婚式も挙げたいんだけど、式場の予約が今からだったら取れないからどうしたらいいかって相談してきたの……。だったらここで式を挙げたら?って言ったら、咲哉くん凄く喜んでねぇ……」
青木先生はウェディングを優しく触りながらそう話してくれた。
うそ……咲哉さんが……。
私はウェディングドレスを見つめたままの目からボロボロと涙がこぼれ落ちた。
「あらあら……」
そう言って、青木先生は私の傍まで来ると、スカートのポケットからハンカチを取り出して、流れる涙を拭いてくれた。
「着替えましょうか」
優しい笑顔の青木先生。
「はい」
私は泣きながら青木先生に返事をした。