「夢じゃないよ」
咲哉さんはそう言って、私を抱きしめた。
「穂乃ちゃん……。バイトなんかしなくていいよ……」
「えっ?」
何で?
「あのさぁ……。穂乃ちゃんの就職先は、もう決まってるから……」
決まってる?
「決まってるって……えっ?」
咲哉さんがバイト先を決めてくれたの?
「穂乃ちゃん?」
私を抱きしめる腕に力が入るのがわかる。
「穂乃ちゃんの就職先は……ここだよ……」
「えっ?」
ここ?
「穂乃ちゃん……」
咲哉さんは私の名前を呼ぶと、私の耳元でこう囁いた。
「俺と結婚して下さい……」
と……。



