「咲哉さん……」


「ん?」


「1人にして……」



私は咲哉さんと目を合わせず、床を見つめたまま静かにそう言った。


1人になりたかった。


咲哉さんがいたら、咲哉さんを責めてしまう。



「…………わかった」



咲哉さんはそう言って、寝室を出た。


静かな寝室。


私は泣きながら名刺をビリビリに破ってゴミ箱に捨てた。


ベッドの縁に座った。


何で咲哉さんはパパに会いに行ったの?


私が家に帰りたくない理由を確かめるため?


何で勝手なことするの?


嫌だ……。


もう、嫌だよ……。


どんどん溢れてくる涙。


スカートをギュッと握った手の甲にポタポタと落ちていく。


もう……これ以上、咲哉さんに迷惑をかけられない……。


私の中で、ある決意が芽生えていた――。