食事を済ませて、川瀬さんとはファミレスの駐車場で別れた。
「川瀬さんって……どっかで見たことあるんだよね……」
さっきからそれが気になって仕方がない。
どっかで見たことある……。
でもそれがどこなのかわからない。
帰りの車の中で、私は咲哉さんにそう言った。
「もしかして……ワイドショーとかニュースじゃない?」
「うーん……そうだったと思う……。でも何でわかったの?」
あっ!
そうだ……テレビのワイドショーだ……。
3年前の事件――。
元カノに刺された事件……。
それだっ!
「あいつ、3年前に元カノに刺されて、ワイドショーやニュースで大きく報道されたから」
「あぁ!それだっ!女性といたとこを元カノに見られて、その元カノが逆上して刺しちゃったってやつだよね?でもその女性は教え子で……元カノの勘違いだったってやつ……確か……」
うん、そうだ……。
「あぁ、でも実際は、元カノは瑞樹と一緒にいた教え子を刺そうとしたんだ。それを瑞樹が庇って刺された。俺、その現場にいたんだよ」
「えぇ!?そうなの!?」
私は目を見開いて咲哉さんを見た。
「しかも、その教え子は瑞樹が3年間、想い続けてる片想いの相手。本当は両想いなんだけどな」
「えぇ!?」
川瀬さんの片想いの相手は教え子……。
私は目を更に大きくして咲哉さんを見た。
しかも両想いなんて……。
川瀬さんはどうして気持ちを伝えないんだろう……。
伝えられない事情でもあるのかな?