小さな田舎町の中で一際目立っているレンガ造りの建物。
ここって……まさか……。
「咲哉さん……ここ……」
「俺が15歳まで育った施設」
咲哉さんは私の方をチラッと見て言った。
やっぱり……。
咲哉さんは正門から車を入れて、駐車場に車を止めた。
「中に入ってみる?」
「うん」
車から降りて、建物の中に入った。
冬休みということもあって、園内の中は子供たちの賑やかな声が聞こえる。
玄関を入ったとこで、子供たちが寄って来た。
「何かご用意ですか?」
赤ちゃんを抱っこした1人の職員の女性が聞いてきた。
「阿川という者ですが、青木先生は……」
咲哉さんが女性職員に軽く会釈をしてそう言った。
「園長ですか?いますよ。呼んで来ますからお待ち下さい」
職員の女性はニッコリ微笑むと、バタバタと奥の方に走って行った。



