「何か中途半端な時間だな……」
「そうだね」
墓地の駐車場を後にした車の中。
車の時計は"10:30"を表示していた。
「どうしようかなぁ……」
咲哉さんはポツリと呟いた。
のどかな田舎町の風景が広がる。
「咲哉さんの育ったとこって……ここら辺?」
私は咲哉さんに聞いてみた。
「うん。高校卒業までこの町にいたんだ」
「そうなんだ。いいとこだね」
私は咲哉さんの方を見てニッコリ微笑んだ。
咲哉さんは何か考えてるみたいに、前を真っ直ぐ向いたままだった。
何を考えてるんだろう……。
それとも昔のことを思い出してるのかな?
今は話し掛けないようがいいかもしれない。
私は助手席の窓の方を向き、窓から見える流れる景色を見ていた。



