「穂乃ちゃん?何があったのか話して?」
咲哉さんはもう1度、聞いてきた。
「居場所が…………」
私はそう小さく呟く。
「えっ?」
「居場所が……なかった……」
継母のあのナイフのような冷たい突き刺さるような目が……。
優太のよそよそしい態度が……。
私の頭の中に蘇る。
「穂乃ちゃん……」
咲哉さんの手に力が入る。
「帰ったら……まるで汚いものを見るような目で……見られて……。睨み付けられて……何で……帰って来たの?って……」
泣きながら話す私の隣で"はぁ"と小さく息を漏らす咲哉さん。
何か考えてるように一点を見つめ、私の手を再びギュッと握った。