私は門から外に出た。
咲哉さんの車が止まってる。
良かった……。
咲哉さんは、ちゃんと待っててくれた。
咲哉さんが車から降りて来る。
私は咲哉さんの前に立つと、何も言わずに抱きついた。
あったかい……。
咲哉さん……あったかいよ……。
私の目から再び涙があふれてきた。
肩を震わせ、嗚咽を吐き出しながら子供のように泣く私を、咲哉さんはギュッと抱きしめくれた。
「穂乃ちゃん?」
「咲哉さん……私を……拾って?」
私は顔を上げて、泣きながら咲哉さんにそう言った。
私には、もう家も家族もいないの……。
帰る場所はないの……。
「えっ?」
咲哉さんが小さく声を出して、私を見た。
「とりあえず、車に戻ろ?」
咲哉さんは私をそっと離して肩を抱くと、助手席のドアを開けて私を車に乗せた。
咲哉さんも運転席に乗る。
咲哉さんは家の前から車をゆっくり発進させた。