思えば、あの笑顔はペンギンを赴くままに見た後の満足感から出た物だったのかもしれない。
俺、水ノ宮 玲の左前にはカツ丼を綺麗に食べる凡人。その蘭の前には大翔先輩と美しく雑談する冷奴の食べかけを放置する涼。そしてその目の前、つまりは大翔先輩の目の前の俺は黙々と山菜うどんをすする。
つまりは俺の目の前には大翔先輩、大翔先輩の隣は凡人、凡人の目の前には涼。

いや、辛いんだよ、この状況。
大翔先輩がわざわざ凡人の隣に座るなんて……。

「先輩の食事可愛いですねっ!」

「……あぁ」

先輩の目の前の食事はペンギンの絵柄が書かれたお弁当。それに入ったおにぎりは海苔にペンギンが白い線で抜かれている。おかずは卵焼きにウインナーにトマトにミートボール。

まぁ、なんで先輩がこんなお子様向けのお弁当を食べているのかというと……。