「でも本当にちょっとなら持ってるし……」

「良いって良いって、俺に奢らせて」

「でもぉ……」

「分かった分かった。じゃぁ、いつか返してもらうってことで」

「に゙ぁぁぁ……絶対、絶対返すからね!」

「はいはい」

頷きつつ蘭の頭を撫で続ける。

「に゙ぃ……? 俺、子どもじゃないよ?」

「うん。なんとなく」

「ん゙ー……?」

そのまま、頭から頬へ、そして顎を一撫で。まるで、猫を撫でるかのように……。
撫でられるのが心地好いのか、何も言わず目を瞑る蘭の顎を持つ。しかし、顔を近付ける一歩手前で思いとどまる。ここは水族館。公衆の面前でしてたまるものか。

「……どこで食べようか?」