あまりの痛みに雛が一輝から咄嗟に手を離したと同時に、聞こえた言葉に二人はその声のした方を向いた。

「あ、阪奈と龍ヶ崎じゃん!」

「ビックリした! 紫織達、どうしたの?」

「いや、二人とも迷ってるみたいだったから……」

「邪魔したかな? このバカップル」

「うん。邪魔だった」

水の嫌味たっぷりの言い方をさほど気にせず、一輝が答える。
しかし、水はその態度が気に入らず、舌打ちをした。

「水っ!」

「だって! 今の原の言葉、聞いた!?」

「聞いたよ! これくらいはいつもの事でしょ!?」

「だから尚更苛つくんだよっ!」