「一輝ったら、道はうちに任せておけば良かったのに」

「だってたまには雛より前を歩きたいじゃんよー!」

拗ねたような口調で言う雛に一輝は言い訳じみた事を言う。

「無理はしちゃだめだって百合さんにも言われたでしょー」

「でも、久しぶりのデートだし……それに、これから三週間も雛に会えないんだよ? 雛はイギリスに帰っちゃうし、俺もフランスに帰っちゃうし?」

「か……一輝ぃっ! うちも会えないのは寂しいよーっ! メールはしてね! 電話も忘れちゃ嫌だよ? もう、一輝大好き!」

いかにも寂しそうに言う一輝に耐えきれなくなった雛は一輝に抱き付く。……が。

「痛いっ! 日焼けしたとこ痛いぃっ!」

日焼けをすっかり忘れて一輝に抱き付いた雛は日焼けの後の肌が一輝に触れた途端、痛みに襲われた。

日焼けの後が痛いのは当たり前だ馬鹿。

「うわーバカップル!!」