「……貸して」

「へ?」

「ユウ、おいで」

ユウは簡単に蘭のもとを離れ、大翔に飛び付く。飼い主は大翔なのでは? と疑うほど大翔に懐いている。そして大翔に飛び付いたユウは大翔の腕の中が心地好いようで頻(シキ)りに顔を擦り付けている。そんなユウを撫でながら大翔は玲の方へと再度向かった。

「忙しい人ですね」

「だな」

「絶対先輩のユウだよ!!」

「いきなり何言いだすんだよ」

「だってめちゃくちゃ懐いてるじゃん!!」

「でも蘭にも懐いてるじゃん?」

「俺よりも先輩に懐いてるもん」

「大翔さんは自分のではないと言っているんですよ?」

「に゙……」

「先輩は嘘吐かないだろー」

「もしかしたら……とか」

「ないない」

全否定されちゃった……。
なーんか俺ってば悲しいなー……。