矢を弓に番えて(ツガエテ)、矢は親指に乗せたまま、顔より後ろまで弦を引き、精神を的に集中させる。

的に全神経が集中させたら弦を一思いにに離す。

スパァンッ! と、矢が的に当たる気持ち良い音が二回すればそれは涼と一輝だ。

二人は中学も弓道部でそのときからからすでに有名だった。

中学では三年の十月ぐらいに受験のために、と部活を引退していた二人だが、高校入学後すぐに弓道部に戻ってほしいと言われ、二ヵ月はしなければならない一年生用の筋トレも射法八節の練習も一週間ほどで二年生用の練習に変えられてしまうほどに二人の実力はすごく、手放すのは勿体ないと言われているのだ。

そしてそれをいつも眺めているのが蘭。

中学では遠い存在でしかなかった涼が高校ではすごく近い存在になった。

でもまだ少しだけ遠いかな……。