誰よりも丁寧な御辞儀で、誰よりも反抗的な眼で……。

「……涼様、初めまして。今日から仕えさせていただきます。鷹と申します」

「たかさん、こんにちわ!!」


ある雨の降る初夏。
そして俺の七歳の誕生日……。

人生最悪にして最高の誕生日プレゼント……。


俺は『朱牡丹 涼』という名のたった三歳の少年の付き人になった。

俺の家系は代々、朱牡丹家の跡取りに仕えている。分家から本家まで、少しでも優秀な人材を仕えさせるために、どんなことでも教え込ませ、競わせた。

最初は二十人強は居た候補も一人、また一人と脱落していく。

そんななか残る最後の候補者が朱牡丹の跡取りに仕える。

そんな状況で本家の血筋を引く鷹だけが残った。

情けない……たしか俺よりも年上のやつも居たはずなのに。脱落するなんて……なんて情けない……。