例年通りまだ蕾を膨らませ春の暖かな風を待つ桜の大樹が一つ。そしてその大樹を大きな目で見上げるのは、今年、中高一貫校である「私立城華学園」の中等部を卒業するこの小説の主人公である、
剣ヶ峰 蘭(ケンガミネ ラン)。

その顔立ちは女の子のようであり、小学生のように幼い。

体格はその顔立ちに見合う華奢で色白の低身長。

見上げる蘭の髪をまだ少し冷たい風が揺らした時、蘭は何かを決心したように頬をパンッ、と叩き歩きだした。