プラチナの誘惑

その姿はまるで私の母さんと同じ。

忙しい医者としての毎日を優先しながら必死で私と姉さんに向き合ってくれてた。

なかなかゆっくり会えない生活が普通になっていて、幼稚園は課外保育も受けて…。
毎日夕方6時になるまで幼稚園にいた。

成長するにつれて、単なる時間的な距離よりも姉さんの陰に隠れる私には心の距離の方が大きくなって…寂しさ以上の空虚感を感じるようになった。

母さんにしても、優秀な姉さんに対する期待と同じものを私に求める事は諦めたようで、高校受験の時に揉めて以来、何も言わなくなった。

ただ、私を見つめるだけで。
何を思っているのかわからない瞳には、ちゃんと私がうつっているのかもわからず。

私は私で、姉さんとは違って派手ではない地道な仕事をこなしながら一人生きている。