「幼なじみなのよ。私と柊ちゃん」
一人息子の哲人くんをベッドに寝かせて、しばらくその寝顔を見つめていた逢坂さんは静かな声で話してくれた。
「5歳の時に知り合ってからずっと近くにいてね。
いろいろあって、柊の両親に育ててもらって、当たり前みたいに好きになって。
俳優になった後私が別れたいって言ったんだけど、逃がしてもらえなくて哲人作って…事務所には言わずに結婚したの」
ふふっと思い出し笑いをする逢坂さんは、普段のしっかりとした見た目を残したままだけど、その見た目はやはり母親に変わっている。
逢坂 柊という有名人と共に人生を生きるには、きっとそれなりの覚悟があったに違いないし、今だって相当のストレスもあるに違いないのに。
「…幸せそうですね」
「ん?そう見える?」
「はい。逢坂さんに会うの今日が初めてなのに、そう思えるくらい優しく笑ってるし…」

