プラチナの誘惑

「昴…みんな見てる…」

小さく呟くと、私の頭は途端に昴の胸に押し付けられてしまった。

「顔見えないから、恥ずかしくないだろ?」

昴の胸から直接聞こえる声はどこか面白がってるみたい…。

「で、さっき俺が言った事は全部ビンゴだろ…?

どうしようもなく俺の事が好きで、俺を独占したくて、俺を他の女に取られたくないんだろ?」

「…昴…」

見上げた私をじっと見ていた昴は、ふっと息を吐いて

「…そうだろ?」

「あ…それは…そうだけど…」

あまりにもストレートな昴の問いに、素直にうなずくには恥ずかしくて、きっと今私の顔は真っ赤なはず…。

「昴…」

言葉にできない想いを視線だけで昴に伝える。

「恥ずかしがらなくていいのに…。

今俺が言った言葉全部、俺の気持ちなのに。
いや…彩香が持つ気持ちよりも俺の方が強いな…。
俺は四六時中こうして、彩香を俺の腕に閉じ込めてたい」

「…っ」

あまりにも甘い台詞が落とされる。
予想もしなかった言葉に表情に…足元が浮き上がってしまう感覚に襲われる…。

「…照れるよ…」

力の入らないままの顔で囁いて、そっと昴の腕から抜け出した。
温かい胸から離れた途端に寂しくなる私は、相当昴に溺れてると気づいてしまう。

「私は…とっくに昴の中に閉じ込められてる。
いつでも頭に浮かぶのは昴のこと。
昴が私のことまだ愛してくれてるかな…とか私に飽きちゃったらどうしよう…とか。
いつも鬱々と考えてる。…多分これからもずっとそうなんだろうって覚悟もしてるし…。

私は昴っていう籠の中で生きていくの…」

自分の中でも整理のつかなかった想いが淡々と飛び出すのを感じながら…。
籠の中で暮らすのも悪くないな…って。

逆にそれを望んでる私自身が見えて、無性に幸せな気持ちになる。