時間を止められたような空気を二人の間に感じてしばらく私の思考は停止してしまった。
昴の問いは、今まで聞いた事がないほど切なく私の胸を突いた。
「いつから…?」
首を傾げながら、不安を隠そうともしない小さな声が、私の呼吸を呼び戻していく…。
「…さあ…わからない」
何も隠そうともしないままに、正直に答えると、軽く傷ついた表情で口元を引き締める昴。
「…わからない…?」
低い声はそのまま昴のテンションの低さなんだろうな…。
心細そうな目の光が私の次の言葉を待ってる気がして。
逆に私は、今までになく力強い想いが溢れてきて。
「…ふふっ」
思わず漏らす笑い声。
ここが美術館じゃなかったら、多分もっと大きな声で笑ってるはず…。
「いつからかは…はっきりとはわからないけど。
好きって確信したのは…逢坂さんの家にお邪魔した時」
「…」
思い出すようにゆっくりと話す私に、相変わらず不安げな視線を投げる昴は黙ったまま。
「…ずっと…入社してから少しずつ昴を知るうちに好きになっていたと思うけど…昴のまわりにはいつも女の子がいたから。
諦めてた…っていうか。
それでも…。
好きって気づいたから…」

