プラチナの誘惑

「続きは部屋でやれよ」

え…?

はっと振り向くと、車にもたれながら立っている小椋さん。
日和の肩を抱いて苦笑している。

「彩香のそんな可愛い顔初めて見た」

くすくす笑う日和…。
小椋さんに体を預けて笑うそんな可愛い日和の顔も初めてなんだけど。

…そんな事をちらりと考えながらも、やっぱり昴に抱きしめられてるこの状況は恥ずかしくて。

ゆっくり離れようとするけれど…。

「昴…?」

昴の腕は一向に離れなくて、私はじっと腕の中…。

「いいんです。別に」

頭上から聞こえる声に驚いて、必死で昴の腕から抜けようとするけど。

「やっと手に入れたのにそんな簡単に離すわけないでしょ」

ふふん…とあっさり、そう言う昴に、私の心臓だけがバクバクと音をたてて慌ててる。
余裕いっぱいの昴…。

「小椋さんも、こんな所で人の事からかってないで、帰って日和といちゃつけばいいじゃないですか」

「…」