プラチナの誘惑

「先に言われてたまるかよ。
俺は、二年以上彩香を見てるんだ。
彩香が『どんどん』なら俺は『ずっと』だ。
ずっと好きだったんだ。
甘くみるなよ」

「二年って…嘘…」

「嘘じゃないから。
ニューヨークで見かけてからずっとだ。
ずっと好きだった。

…ずっと俺を見て欲しかったんだ」

そう言った昴は、私を胸に抱き寄せて小さく息を吐いた。

「彩香の心をくれって
言っただろ?

ちゃんと、全部俺にくれ。
愛する気持ちも疑う気持ちも全部」

私の体を包む腕の強さに身動きできなくて、息をするのも大変。
腕だって下に向かって下ろしたままで。
ぎゅっと昴に固定されているから…。

抱きしめられない…。

昴が抱きしめてくれると同じくらいに私も抱きしめたいのに。

できない…。

でも、昴の想いを全て注ぎ込まれているようで、このまましばらく昴の暖かさに浸っていたい自分も感じて…。

かなり幸せに思えてしまう。