プラチナの誘惑

「からかってないし、遊びじゃないって言ったの
忘れたのか?」

私の腕を掴んで、車の外に引っ張り出すと、低い声と暗い表情で。

夜の暗さの中でもわかるくらいに不機嫌な顔は、車の中で抱えていた緊張感を更に大きくさせる
けれど、昴の瞳の向こうに見えかくれする光。

その光に私と同じくらいの緊張感を感じるから。

「忘れてないよ。
ちゃんと覚えてるし。
私も遊びじゃないから」
俯きそうになる気持ちを必死で堪えて
震える声しか出ないけど一生懸命昴に伝わるように。

「私…どんどん昴の事…」

今言いたい。
言って、ちゃんと受けとめてもらいたい。
曖昧に抱かれるのも見つめ合うのも…甘い言葉の裏を考えて切なくなるのも…。

もうおしまいにしたい。
昴から受ける事全てに笑って幸せな気持ちで真っすぐ応えたい。

だから言わなきゃ…。

「どんどん昴のこと…」

「好きだよ。
彩香の事、ずっと好きだった」

私の言葉を遮って、昴がそう呟いた。