プラチナの誘惑

そんな日和の言葉も、小椋さんには想定内だったのか、慌てる事もなく…逆に嬉しそうに

「我慢してたんだよな。
我慢してでも俺の側に
いたかったんだよな」

こんなに意地悪な小椋さんに呆然として何も言えずにいる私の事なんて吹っ飛んだ感じの二人。

…優しく見つめ合う視線の先にはお互いがいて。

羨ましいし…恥ずかしい。

「聞きたい事があれば何でも聞け。
俺は、嘘は言わないしごまかした事もないだろ。

葵ちゃんの事だって、見合いに逃げるほど悩む前に聞けよ。

聞いたらバカバカしくなることが殆どだぞ」

…と、最後の言葉は私に向けられたようで、日和と小椋さん、二人の顔が私を見てる。

「…覚えておきます」

つまりながら、そう答えるだけしかできなかったけれど。

聞いてみれば…。

案外何でもない事かも…。

なんだか、昴に早く逢いたくなったな…。

そうは思いつつも、次第に近づく昴のマンション。
さっき逃げ出した時よりももっと、心臓の音は大きくて飛び出てきそう…。

会いたいけど怖い…。