プラチナの誘惑

「まあ、わざとそう見せてたし。
お前の悲しそうな顔見ると、どんだけ俺の事好きなんだって安心するし」

「な…」

あまりに飄々と言う小椋さんに何も言えずに固まる日和…。

相変わらずくすくすと笑いながらの小椋さんは、信号待ちで車がとまった瞬間に、怒りで固まった日和の頭を軽く撫でながら

「…相模と俺は、中学が一緒で。
葵ちゃんの両親の後輩になるんだ。
相模もそうだけど、その両親…仁科夫妻の影響でこの仕事を選んだからな…。

その仁科夫妻の忘れ形見を大切に思ったり特別な目で見るのは仕方ないだろ」

ん?
と顔を寄せて日和にキスをすると

「不安なら聞いてくればいいだろ」

「…だって、付き合ってるのかも、私の事好きなのかもわかんないから…何もかも聞けなかったんじゃないっ」

声も次第に大きくなって興奮気味の日和…。
こんなに感情を出す彼女を初めて見た。

相当今まで我慢してたんだろう。