プラチナの誘惑

昴の事…。
この数時間すっかり忘れてたのは、きっと心の奥ではちゃんと信じてたからだと思う。

部屋にいた女の人だって、私を見た後に浮かんだ表情は優しくて私を受け入れてくれるように見えたし。

わざわざ合鍵を持たせて一人で部屋に行かせた昴には、何も後ろめたい事なんてなかったのかもしれない…。

状況だけに振り回されて、自分を悲劇のヒロインみたいに哀れんで逃げ出した…。

恋愛に慣れてないっていう理由だって、今思えば単純に昴を信じきれていなかった…私自身の弱さを隠す為の言い訳。

日和の言うように、

『恋愛は、人間関係の延長』

なら、私は昴との人間関係だってうまく築けてなかったって事…。

そんないろんな事を考えているうちに、落ち込む気持ちに加速がかかってしまうけれど…。

とにかく昴に会いたい。
そう思う気持ちも急角度の右上がり。

ふうっと息を吐いて。

何度も送ってくれた直近の昴からのメールを開いた…。