プラチナの誘惑

とりあえず、飲みかけのコーヒーを飲んで

「早い方がいいよね」

まだ日付は変わってないけれど、かなり遅い時間にかけてでも…。
早く断りの連絡をしなきゃ。

ソファーの上の鞄から携帯を取り出して見ると。

「うわっ」

画面に並ぶ着信30件の文字。
メールも5件。

慌てて履歴を見ると、全てが昴からで。
日和の部屋に、どうしてやって来たのか…。
昴の部屋から逃げてきた事が一気に蘇ってきた。

自分の事よりも、日和と小椋さんの展開に驚き過ぎたこの数時間。
昴の事…頭から抜けていた。

昴の部屋で見かけた綺麗な女の人の顔も浮かんできて、少し落ち込んでしまう…。

「どうしよ。怒ってるよね…」

日和の部屋に着いてすぐ昴からかかってきた電話には、まだ興奮し過ぎてて。
呆然とする私に代わって日和が出てくれた。

『彩香に何したの?』

怒る日和と何を話したのかは聞いていないけど、これだけ連絡をとろうとしてくれた昴に、何だか申し訳なく思う…。

会いたい…。

会って、ちゃんと聞きたい。