プラチナの誘惑

それから何年経っても、一番の望みは変わらない。

大切な人から一番に愛される事。

そして。

今まさに。

目の前の二人は。

私の夢をそのまま手に入れて、本当に幸せそう。
特に日和は、涙がおさまった瞬間からずっと小椋さんに纏わり付いたまま。
離れる事が不安なようにずっと小椋さんのどこかに触れている。

さっきまでの甘い雰囲気は抑えて、いつものクールに笑う小椋さんは、そんな日和を苦笑しながら見つめているけれど。
日和から離れようともせずに…幸せそうに見える。

小さな頃からの私の夢を手に入れている二人が
羨ましくて、ため息。

「…じゃ、入社してからずっと付き合ってたのね?私には内緒で」

拗ねて言う私。
何だか切ないな。

「ごめんね。
体だけの付き合いなのかって悩んでたから…。
それに。
他に好きな人がいるって思ってたから言えなかったの」

「…いるんですか?
他に好きな人」

日和の言葉に驚いた私は、慌てて小椋さんに聞いた。

「…何を誤解したかは…まあ心当たりはあるけどな。
いないよ。
日和しかいない」

「…だってさ。良かったね日和」

からかうように視線を向けると、真っ赤な日和が俯いていて可愛い。
あぁこんな可愛い日和が本当の彼女なんだな…。