プラチナの誘惑

「あ…彩香…待って…」

部屋を出ようとしたのに
日和が声をかけてきて…
でも、相変わらず息は弾んでいて…。

「お邪魔だから…帰るね。
詳しくは月曜にでも聞くからね…」

背を向けたままで、ようやくそう言って玄関に向かった。
これ以上ここにいたら、尋常じゃない鼓動の跳ね方に目眩まで起こしそう…。

なのに。

あんなに二人の世界にどつぷり浸かっていたはずの日和が、あっという間にやってきて。

「このまま帰るなんて、だめ」

がっちりと私の腕を掴んだ。
有無を言わせない力でリビングに引きずられて…

「…で、何から話そうか？」

どう見ても機嫌がいいとは言えない小椋さんが、不敵に笑っていた…。