プラチナの誘惑

「…はあ。ま、いいよ。それくらい」

「彼女に似合うのあったら使っていいよ。
ただし、着せるのはこの部屋だけにしてね」

やんわり笑う芽実さんは、彩香の事を深く聞いてはこないけれど、俺がこの部屋に女を連れて来た事を喜んでいるのはわかる…。

彩香に誤解をさせて、今夜一緒に過ごせなくなった原因を作ったのは誰だよ…。

そんな思いを隠さず、じろりと睨むと。

へへっと肩をすくめて
反省していない笑顔。

「じゃ、帰るよ。
奏も今夜は帰ってくるから」

「…ん。送ってくよ」

「あ…そう?ついでに彼女連れ戻してきたら?
明日は日曜日だもん、どれだけ熱い夜になっても大丈夫でしょ?」

くすくす笑いながら、そしてからかいながら言うと、芽実さんは鞄からこの部屋の合鍵を取り出して俺に差し出す。

「もう、邪魔しないからね。ごゆっくり」