「…ごめん…」
目の前で小さくなって必死で謝る義姉の姿を見ながら、どこにぶつけていいのかわからない怒りを持て余している。
「まさか昴がこの部屋に女の子連れ込むなんて思わないから…」
床に正座して平身低頭の義姉は、普段見せる強気なデザイナーの姿とは程遠く、ただの泣き虫な女。
このギャップに兄貴はやられたんだろうな…。
「もういいよ。
俺も、芽実さんがきてるか確認すれば良かったし。
今晩は友達んとこにいる連絡もあったから」
「…恋人…?」
涙声で聞いてくる芽実さん。
どこか興味津々な雰囲気も感じられる…。
もう反省会は終了か?
はぁ…。
ソファーに腰掛けたまま小さくため息。
「ようやく、恋人って
いう立場を納得しそうになってたところ。
…くそっ」
最後の一言に、申し訳なさそうな反応を見せた芽実さんは、相変わらずの恐縮した態度は崩さないまでも…。
「で、これを買いに行ってたんだね。
熱い夜のために」

