プラチナの誘惑

「これは、彩香のキーだから持ってろ」

「え?」

当たり前のように言う昴を見ると、何かを決めているような黒い瞳。

「私のキー?」

「そう。俺の部屋の鍵だから、いつでも来ていいから…ていうか、来い」

低い声に包まれて、一瞬にして固まった私は、じっと手の平のキーを見る。

昴の部屋の…合鍵…?

いつでも来ていいの?

急に激しくなった鼓動が、昴にも聞こえるんじゃないかなんて恥ずかしさも気にならないくらいに、胸がいっぱいになった。

合鍵を貰うなんて…。
自惚れてもいいの?
私を特別な場所に置いてくれるの…?

思った以上に高ぶった私の頬に流れる涙を優しく指で拭ってくれる昴の手をつかんで…ちゃんと私は笑えてる…?

「…泣くなよ。今必死で我慢してるんだからな」

「…?」

昴は、はあ…っとため息をつくと、私の額をぽんと指で弾いた。

「今すぐ抱きたいのを我慢してるって事」