プラチナの誘惑

「…どうした?
体つらいか?」

次の店へと歩きながらも言葉少ない私を気にしてか、窺うような昴。

ん?

と不安そうな顔をじっと見つめると

「夕べ…加減したつもりだったんだけどな…」

照れるでもなく簡単に出てくる言葉に更に気持ちは沈んでいく。

加減してしまえるくらいに冷静だったって事…。
私にとっては初めての痛みと悦びが次々と襲ってきてのまれて…。

あらゆる感情の波に溺れながらも昴に縋るしかなかったのに…。

慣れてる昴にはすごく客観的な時間だったみたいで…どう答えていいのかわからない。

浮上できる何かを見つけたくて昴の表情からそれを探そうとしても、リラックスしている整った顔からはそれは見つけられなかった。

「…体は少し痛いけど
大丈夫」

「まだ、俺がいるみたい?」

「…えっ」

肩を抱き寄せられて、夕べ包まれた昴の暖かさを思い出す…。