結局。
赤い花が気になって、落ち着かない私は。
紅茶とパンケーキを急いで食べて、モール内にあるショップで薄いパステルピンクのストールを買った。
相変わらず笑っている昴が私の首にそれを巻いてくれて、ようやく一息…。
「別に隠さなくたって
いいのに。
誰だってやってる事じゃん」
「な…。誰でもって…
私は今までそんな経験なくて…」
「知ってる。
彩香が初めてだってすぐわかった」
まるで何でもない事のように話している昴の隣を歩きながら…。
あまりに違う経験値に
どんと気持ちも落ちていく。
普通なら、とっくに通過している経験や感情を、今初めてたどり始めた私と…。
かなりの恋愛をこなしてきたはずの昴…。
仕事で見せている私の強気な態度も言葉も、今は程遠いくらいに不安定で、何の役にもたたないし昴に対する仮面にもならない。
何をどうしても…今の私は弱々しく手のかかるだけの女にしか見えないんだろうな…。

