プラチナの誘惑




日和のいる現場は、駅から近いという事と、何度か日和からも話を聞いていたせいかすぐに着いた。

『野崎邸』

お施主様の名前が書かれたボードが玄関に置かれている。
ほぼ完成している二階建ての家。
外壁は薄い茶色で屋根は寄棟のオレンジ。
温かい色合い漂う外観にしばらくみとれた後、少しためらいがちに玄関の扉を開けると、ちょうど玄関から見えるリビングで打ち合わせをしていた日和と目が合った。

「…あ。ちょっとすみません」

そう言いながら側に来た日和は、

「わざわざごめんね」

軽く笑っていながらも、普段の迷いない表情とは違ってる気がする。

何かあったんだろうけど心細そうな目を見ると何も聞けない…。

お見合いをするって言い出した事といい今の様子といい…。
気になる。