プラチナの誘惑

ほんの少しの時間。
虹に癒された穏やかな気持ちで日和に電話してみる。
この間、お見合いしたいと真剣に話していたけれど、何日かたった今も同じ気持ちかどうかはわからない。

母さんの気楽な言葉に押されるように、とりあえずまだその気があるか連絡するだけしてみよう。

『もしもし彩香?』

呼び出し音が鳴ってすぐに出た日和の声は少し急いでるように聞こえる。

「あ…今まずい?かけなおそうか?」

『ううん。現場だけど少しなら大丈夫。どうしたの』

「う…ん。
突然だけど、明日お見合いする気はある?」

『は?明日?明日って彩香がするんじゃなかったの?』

大きな声で慌てる日和。
当たり前か…。

「明日のお見合い、私は断ったの。
それなら日和はどうかって母さんが言ってるんだけど」

『…そっか…』

「あ、急に無理だよね。相手がどんな人かもわからないし。
今回はやめておく?
また次の機会もあるだろうから大丈夫だよ…」