プラチナの誘惑

ぼんやりと、頭の中をあらゆる感情がぐるぐる回っている自分に驚いたままでいると

「日和ちゃんがお見合いするなら連絡してちょうだい。
写真をみせてあげたら?
男前だからその気になるんじゃない?
じゃ、仕事だから切るわね。
彩もたまには家に顔だしなさい。
父さん寂しがってるから」

そう言ってさっさと切られた後も、固まったままの心も体もそのまま。

混乱が徐々におさまり、反対に母さんの言葉への理解が大きくなっていく。

手にしていた携帯をパチンと折ってテーブルに置いて、大きく息を吐いた。
そして、リビングのカウンターに飾ってある絵をじっと見る…。

A4ほどの『虹』の絵。

沢山の色が使われた水彩画は、お気に入りの絵。
近くにある大きなビルの一階にある美術品の展示スペースに展示してある絵。