プラチナの誘惑

どちらかと言えば優しい表情や声しか表に出さない昴の普段からは結びつかない雰囲気に戸惑って何も言えずにいると。

「結婚…したいのか?」

相変わらずの無機質な声。

「あ…。まあ、そろそろ
してもおかしくない年だから…」

ははっと笑ってみても、昴は笑ってくれなくて。

「どうしたの?
昴も結婚したいの?」

「…」

だんまり。

…何で…?

居心地の悪い沈黙にどうしようかと思っていると、エレベーターが開いてホッと息をついた。

けれど、こんな時に限ってエレベーターには誰も乗っていなくて…。

居心地の悪さも連れて二人で乗り込んだ。

私は10階昴は8階。

さっさと降りてこの沈黙から解放されたい…。

ボタンを押した途端、背後にいた昴に手を捕まれて一気に引き寄せられた…。