プラチナの誘惑

本当に…予想外の言葉が返ってきて、呆然としてしまう。あっさりとお見合いをなしにしてくれただけでも驚きなのに、代わりに日和が行ってもいいなんて…。
相手に失礼だし…私の事を大して気にしてなかったってこと？

私の将来を、

『あら、そう』

って単純な言葉で流してしまえるくらいにしか考えてくれてないのかな…。

慣れてるはずだけど、母さんの心がさほど私に向いてない事を実感して悲しくなる。

私がどう生きようが、興味もないんだろうな…。

「彩？」

「…何？」

目に溢れそうになる涙を気づかれないように声を出す…。

「母さんが無理言ったならごめんね。
お見合いは、一つの出会いのきっかけってだけだし、大したしがらみもない話だから気にしなくていいのよ。
彩にはちゃんと自分の生きようとしている道があるんだから、母さんは安心してる」