プラチナの誘惑




何回かの呼び出し音のあと、聞こえた母さんの声と同時に一気に鼓動は跳ねて。

「彩?…ごめん、今から病院なんだけど急ぎの用でもできた?」

早口の声に、私の気持ちも焦ってくる。
携帯をぎゅっと握りしめて、深く息を吐いて落ち着かせようとしながら

「明日のお見合い、中止にして欲しいの」

一気に言い切って、どきどき暴れる心臓の音しか聞こえない数秒間が、もっと長く感じられる。
がっかりとした声…反対する声が返ってくるのを覚悟しながら母さんの答えを待っていた。

けれど、聞こえてくる母さんの声には、予想していた想いは何も感じられなかった…。

「あら、そう?
彩が考えて決めたんならいいわよ。
先方には連絡しておくわ。
…あ、日和ちゃんがお見合いしたいって言ってたなら、代わりに行ってもらってもいいけど?」

「…は?代わりって…」