プラチナの誘惑

「顔だけじゃないよ…

昴には設計なら誰にも負けないっていう根拠のない自信があるし。

女の子達の気持ちを傷付けないように軽く突き放す上級テクニックも持ってるし。」

目を細め、決して喜んでいない顔を向けられて、少し笑ってしまう。

「第一、私に突然キスしたり…抱きしめたり…
さっきみたいに迎えに
来たり…。

女心を右往左往させる
のも上手だもん。

絶対に顔だけじゃないよ。

悪魔の心も持ってる」

軽く…あっさりと言うのは簡単じゃない。
昴のちょっぴりなげやりな気持ちは今までになく
私の中に響いた。

全てが全て重なるわけじゃないけれど、小さな頃から抱えてきた逃げられない運命。

優秀な姉さんの後から
追いつこうと必死で頑張ったけれど、結局影にしかなれなかった私。

幸せな事なのに、見た目が良すぎて…そればかりが目だってしまって、自分を見失わないように必死だったはずの昴。