プラチナの誘惑

すごい台詞…。
柊さんが映画やドラマで使う台詞みたい。
女の子なら誰でも堕ちてしまいそう。

特に、恋愛経験値に乏しい私なら完全に。

「よっぽど詩乃さんが
好きなんだろうけど、それ以上に自分に自信があるんだろうな」

大きく息を吐いた昴を見上げると、苦笑する悲しい目…。

「俺の人生には捨てたいけど捨てられないもんばっかりだ…はは…」

「…」

「この顔だけで女が近づいて、親父の会社の名前で結婚を狙われて…柊さんみたいに自分だけの力で女を幸せにするなんて…できないよな」

淡々と、自分の中で想いを整理するようにつぶやく声には、それほどの
辛さも感じないけれど、
きっとそれは。

「ずっとそう思ってたの?」

「んー。そうかもな」

ゆっくりと体を起こした私に回された昴の腕は、そのままに。

感情を消した昴の目が
何だか悲しかった…。