プラチナの誘惑

「おまけに父親が会社の社長だとくれば、女達の玉の輿願望を満たすには十分だろ。

ま…それを利用して学生時代には遊んだ事もあったけどな。

今じゃ女に誘われても冷めるだけで本気になんてなれないし」

ははっと乾いた笑い声が少し痛い。

「…本気で好きになった人…いないの?」

あっと気づいた時には遅くて、ふと心に浮かんだ言葉を口にしていた。

何だか気持ちの沈んでいる昴には聞かないほうが良かった…。

それでも、じっと私を見つめる昴から目をそらせなくて、慌てた自分の心臓の音を聞きながら見つめ返していた…。

「本気の女…いるよ…」

目を合わせたまま、一語一語はっきりと言う昴の言葉は…思った以上に私を切なくさせた。

やっぱり本気の女の人いるんだ…。

過去形じゃなく現在形の言葉の重みが、ピンポイントで私の心を傷付けていくのがわかる。