プラチナの誘惑

「私…何か地雷ふむような事言った…?」

黙り込む昴に恐る恐る聞くと、

「…いや。金持ってるのは親父。このマンションも親父が買ってただけで俺のじゃないし」

感情のこもらない、どちらかと言えば冷めた声。
私の手にグラスを渡すと、ベランダに続く窓を開けて部屋から出てった。

どうしたんだろ…。
私が「お金持ち?」って聞いたのがいけなかったのかな…。

不安な気持ちと、一人でいる寂しさが嫌で、緊張しながら昴の後に続いて私もベランダに出た。

綺麗な夜景を眺めている昴の背中はなんだか緊張していて、長袖のシャツとジーンズのラフな様子とは逆に、ガードがしっかりかけられて声がかけられない。

それでも、小さな時からあらゆる寂しさを抱えて生きてきた私の心は、そんな昴を放っておけない。