「彩香…?大丈夫か?
風呂で寝てないか?」
私が長々洗面所を占領していると、ドアの向こうから昴の声が聞こえてきてはっとしてしまう。
「まだ酒残ってたか?」
「あ…大丈夫…」
少し焦っているような昴の口調に、どうしようかと迷いながらもゆっくりとドアを開けた。
途端に目の前にある昴の顔…。
よっぽど心配していたのか眉間にしわも寄っている。
それでも。
シャワーの後完全には乾ききってない髪がやたら色っぽくて、目が離せない。
「…なんだよ。着替えも済んでるなら早く来いよ」
ふっと息をつきながら笑う顔にもドキッとして。
「ごめん…」
思いがけず俯いて、自分のシャツを何となく握りしめていると、すっと伸びてきた昴の手に体全体が抱き寄せられた。
すとんと収まった私。
昴の胸に押し付けられて、聞こえてくるのは
トクントクン
と繰り返す昴の鼓動。

