『今日(こんにち)の様な、春麗らかな良き日に入学を迎えられました事を、心より嬉しく思います。また我が校では・・・・・・』
「かったーい!!!堅苦しいー!!」
校長の単調な喋りを遮ったのは、調度ミカミと雫の間に座る奴だった。二人も、ア然として、そいつをみる。
「校長せんせーっすよね?堅苦しいっすよ、そんな喋り方!」
『・・・君は?』
「え?さっき名前呼んだのにもう忘れたの?藤原!藤原祥司!G組の新入生っす♪」
陽気過ぎる程の口調に、雫は思わずミカミの肩を叩いた。
「何この子、最高!友達けってー♪」
「あぁ。もはや勇者だよ、コイツ・・・」
呆れるミカミと、笑う雫をよそに、藤原はニコニコとしながら校長の言葉を待っていた。
すると、後ろの席から何人かがまた立ち上がった。
「はーい。オレも堅苦しいと思いまーす」
「おれもー♪」
「オレもー」
立ち上がったのは三人だった。
確か名前は、上村、三島、長谷川だったか。
四人は一瞬で意気投合し、肩を組んで会場を出ていってしまった。
「出てったけど?」
「どうなるのさ、コレ」
すると、G組生徒立ち上がり退場は連鎖のように伝染していき、一部は椅子を投げ、また一部は他のクラスの女子にナンパを吹っかけ、またまた一部は座ったまま呆然と笑うミカミと雫を「今年からよろしくなっ!」と言って強引に連行していく。
よく見ると、二人はこのクラスの特徴に気が付いた。
女子、いない。
男子しかいない。
椅子を投げ、ナンパ吹っかけ、強引に連行していくのは全て男だ。このクラス、どうやら女子生徒は一人もいないらしい。
「女の子いないみたいだね?」
「まぁ、居たら怪我すっだろ。これじゃぁ」
納得しながらも、雫はふとポケットのケータイを見た。時刻は8:25…。
「始まってまだ5分か」
「先が思いやられるな・・・」
ズルズルズルズル・・・・・・。
二人は引きずられて、教室へ移動していった。

