・・・・・・春。


陽気な雰囲気。
新たな一歩。


そんな全てが詰まった、全世界共通の行司が今年もやってきた。


そう、入学式である。


『・・・・・・続いて、G組入場』


アナウンスの声と共に、生徒達が入場する。


「・・・・・・!!?」


会場の来場者が、全員一斉にざわついた。



崩れた服装、
染めた髪。
一部は歩きながらメールまでしている。


「ねぇ、あの子達かっこよくない?」
「アタシ、あっちのクールな子がいいなぁ」


座席に座る、先輩後輩、それから入学生の数名の女子生徒が、浮かれた様子で列の一部を指差した。


「・・・ミカミちゃーん」
「んだよ、雫」


列の中で、注目を浴びる二人が会話をし出した。女子生徒達がさらに騒ぐ。


「帰りたいんだけど」
「俺はココ破壊したい」
「こえぇよ、ミカミちゃん」
「ちゃん付けやめねぇと、アッパーカット入るぞ?」
「ミカミ、こえぇ」


二人は会話をしながら、何とか席についた。順番に呼ばれてく名前の中に、二人の名前もあった。


『神崎ミカミ』

「・・・・・・」


女子生徒達がまた騒ぐ。


『涼河雫』


「♪」


女子生徒達がまたもや騒ぐ。


無表情で座るミカミに対し、雫はにこやかに手を振っている。


ドスッ!


「っ!?」
「・・・・・・!」


ミカミが拳で思いっきり雫の脚を殴り、ようやくまた席につく。


名前が呼ばれてく。


ようやく全て呼ばれた後、舞台に備えられた供託に校長が姿を現した。